今回は、今やすっかり日本語になってしまっている「アレンジする」という言葉を取り上げてみたいと思います。私ども「吉祥寺MCS英会話スクール」のシニアの生徒様たちもよく口にされる単語です。
"arrange"は動詞で「アレインジ」のように発音しますが、大体以下の3つの意味を持っています。例文と一緒に見ていきましょう。
(1)整理する・配列する
①I arranged the food in the fridge. (私は冷蔵庫の中の食料品を整理した。)
②She arranged flowers in the big vase. (彼女は大きな花瓶に花を生けた。)
「並べ替えたり整頓したりする」という意味です。そういえば「生け花・華道」のことを"flower-arrangement"と言いますね。
(2)手配する・お膳立てする
③I will arrange the meeting with Mr. Brown. (ブラウン氏との会合をお膳立てしましょう。)
④Could you arrange a taxi to go to the airport? (空港に行くタクシーを手配して頂けますか?)
パーティーや飲み会を「お膳立てする」の意味で、「幹事」のことは"arranger"と言います。
(3)編曲する
⑤He arranged the song for the piano. (彼はその曲をピアノ用に編曲した。)
◆さて、ここまで見てきて「おやっ?」と思った方も多いはず。シニアの方に限らず私たちが日頃一番よく使っている、「ある物に手を加えて変化させる」とか「ある物の一部を変えて構成し直す」といった使い方が上の3つには入っていませんね。料理のレシピ("recipe")によく使われる、あの「アレンジ」です。
実はこの意味の「アレンジする」は意外なことに完全な和製英語なのです。おそらく(3)の「編曲する」から派生したのだと思いますが、もし"arrange the food"などと言ってしまうと、「食べ物を整理する」と解釈されてしまいます。では正しくは何といえばいいのか?
⑥I added a Japanese touch to the food. (私はその料理に和風のアレンジを加えた。)
⑦It's my own version of boiled-tuna. (それはマグロの煮物に私独自のアレンジを加えた物です。)
"arrange"を使っていないのに和訳に「アレンジ」を入れるのは変だと思われる方は、「ひと手間・ひと味・風味」と訳せばいいと思います。まさに"touch"はその意味です。また"version"は、有名な「バージョン」で「版」の意味です。つまり"my own version"は「私(独自)版」なわけですね。
◎なお、参考までに"fusion-food"という最近の英語もご紹介しましょう。"fusion"というのは「融合」という意味の言葉で、色々な国の料理や食材を取り合わせて新しく創作された料理、つまりは「創作料理」と訳してもいいと思います。アボガドを使ったお寿司「カリフォルニアロール」などがまさにこれにあたりますね。
A: I hope you will like my home-made pasta.
(私の自家製パスタ、お口に合えばいいけど。)
B: Wow, it's amazing! It has interesting taste.
(わあ~、すごく美味しいわ。面白い味ね。)
A: I added my own special touch to the sauce.
(ソースに私なりの特別なアレンジを加えたの。)
B: Great! It's Ayumi version of seafood-pasta.
You can open a restaurant!
(すごいわ!アユミ風特製シーフードパスタね。レストラン開けるわよ。)
シーフードパスタといえば、昨年の3月に行ったローマのレストランで食べたシーフードパスタの味が忘れられません。私のイタリア語の発音が悪かったのか、お店の人の勘違いなのか、同じ物が2つ来てしまったのには面食らいましたが、あれはこれまでの人生で最高のパスタでした。
自由に海外旅行ができるようになったら、ぜひまたあのパスタを食べに行きます!シニアの皆様も、海外旅行を目標にがんばりましょう!