「"秋に虫が鳴く"って英語で何て言えばいいのですか?」

これは、私ども「吉祥寺MCS英会話スクール」のシニアの生徒様からの質問です。

 まず「虫」。英語で"insects"(複数形)と言いますが、これは昆虫全般を指しますので、秋に鳴く虫に限って言いたいのであれば"crickets"の方がいいかもしれません。次に「鳴く」ですが、「虫が鳴く」場合には"chirp"という動詞を使います。ですからこの質問の日本文を英語にすれば

◆Crickets chirp (at night) in autumn.

という英文に一応なります。(「夜に」という意味の"at night"を追加しました。) 

 ただし"crickets"は「コオロギ」という意味で、私たちの知っている「マツムシ」や「キリギリス」や「クツワムシ」などを個別に指す名詞はありません。というより、英語には秋に鳴く虫の種類を細かく区分しないで、全部"cricket"でまとめてしまっているといった方がいいでしょう。【わずかに「スズムシ」だけは"bell-ringing crickets"というとってつけたような名詞がありますが・・・・・】ですから、この文を外国人の前で言うと、「秋の夜にはコオロギがチュッチュッと鳴く」という程度に解釈されてしまいます。なんて味気ないことでしょうか!

 実は、日本人以外のほとんどの民族は、虫の声を愛でるという習慣はないのです。ですから、秋の虫の種類も、それらが奏でる音色のバリエーションも興味がなく、従って虫の種類を指す単語さえ存在しないわけなのです(学術名は除く)。実際、虫の声を"noise"(雑音・騒音)ととらえている人も多いそうです。日本人なら"noise"でも"chirp"でもなく、せめて"sing"(歌う)と言いたいところですね。

◆Many kinds of crickets sing (at night) in autumn. And Japanese enjoys listening to it.

       (秋の夜には、いろんな種類の虫が歌います。日本人はそれを聞くのを楽しみます。)

※上の文で"listening"を使いましたが、これも外国人なら"hearing"になってしまうでしょう。なぜなら"listen"は「意識して耳を傾けて聞く」、"hear"は「無意識に耳に入ってくる」の意味だからです。【「~に耳を傾ける」といういみだから"to"が要るのです。】

 ついでの余談になりますが、外国人は「虫の声」を右脳で認識するのに対して、日本人とポリネシア人だけは左脳で認識するのだそうです。左脳は「言語」を認識する領域で、私たちにとっては「虫の声」は言葉のように認識されるとのこと。もしかすると、日本人はポリネシア語を習ったら上達が早いのかも知れませんね(?)。

「日々雑感」2019/9月用