前回の「お役立ち英会話」のテーマは「"get"+〔形容詞〕=(~な状態)になる」でした。しかし「~になる」といえば"get"より先に"become"が思い浮かぶのではないでしょうか。
今回は、「"become+〔形容詞〕=(~な状態)になる」についてお話しさせて頂きます。【なお、"I became a doctor."のように"become+〔名詞〕=◯◯になる」の形はここでは省略させて頂きます。】
◆まず気になるのは、「"get"と"become"では何が違うのか?」という事です。実際には大きな違いはないのですが、あえて言えば違いは3つあります。
(1)"get"はカジュアルな言い方で〈話し言葉〉向き。"become"はフォーマルで〈書き言葉〉向き。
(2)"get"は〈アメリカ英語〉的。"become"は〈イギリス英語〉的。
(3)"get"は「比較的短時間でその状態になる形容詞」や「そうなった後の状態が一時的な形容詞」によく使われる。
【例えば、"hungry"や"tired"や"angry"等がこれに当たります。】
”become"は「比較的長い時間をかけてその状態になる形容詞」や「そうなった後の状態が長く続く形容詞」によく使われる。
【例えば、"rich"や"famous"や"popular"等がこれに当たります。】
□但し3つの違いのどれもが個人差があって、その人の好き嫌いや癖で変わってきます。
(2)に関しては、興味深いエピソードがあります。私がアメリカ人の友達に質問してみたところ、「全部"get"を使っていいよ」と言われましたが、イギリス人の友達に聞いてみたら、「なるべく"get"は使わない方がいい」と言われました。
それはともかく、(3)の違いには注目する価値があると思います。
例文をあげてみましょう。
①The theater became full soon.(まもなく満席になった。)
②This brand is becoming famous.(有名になりつつある。)
③She became healthy after the operation.(手術の後健康になった。)
④He became very rich when he was young.(若い時に大金持ちになった。)
⑤It becomes dark after 5:00.(5時以降は暗くなる。)
⑥The town will become convenient in the future.(将来便利になるだろう。)
⑦I became interested in history.(歴史に興味を持つようになった。)
(※くどいようですが、"She got healthy."や"He got very rich."と言う人もいます。)
◎また、"become+〔形容詞の比較級〕"の形でも使います。
⑧It's becoming colder day by day.(日に日にどんどん寒くなっている。)
⑨Fruit becomes sweeter during summer.(果物は夏の間に甘みを増す。)
A: The restaurant is becoming popular now.
(そのレストランは今人気になりつつあるんだ。)
B: Is it very crowded?
(すごく混んでるの?)

A: Yes. I hear it becomes full as soon as it opens.
(うん。開店と同時に満席になるそうだよ。)
B: Really? But I think it will go downhill soon.
I will try it after it becomes less crowded.
(本当?でもすぐに落ち目になると思うよ。
もっと混まなくなってから行ってみよう。)
"as soon as ~"は有名な熟語で「~するやいなや・~すると同時に」と言う意味ですね。
"go downhill"は「下り坂になる・落ち目になる」の意味で使います。
"less"は"little"の比較級で「より少なく」の意味です。"crowded"と合わせることで「混雑の程度が少なくなる」ことを表します。