数ある英語の動詞の中で、横綱級の動詞といえば"have"、"get"、"take"の3つでしょう。この中で最もとらえどころのない動詞は"get"だと私は思っています。
"get"には「得る・手に入れる」という基本の意味がありますが、それだけでは10%位しか理解したことになりません。今回は"get"の魔法のような使い方についてお話ししてみたいと思います。
★"get"には、"in"、"on"、"to"などの〔前置詞〕や"up"、"down"、"out"などの〔副詞〕と結びついて「~の状態になる・する」のように「動詞化」する力がある!
例えば"get in"は「inの状態になる」つまり「中に入る・(車などに)乗る」となりますし、"get on"なら「onの状態になる」つまり「上に乗る・(電車などに)乗る」という意味です。また、有名な"get up"は「upの状態になる」つまり「起きる・起き上がる」となりますし、"get down"なら「downの状態になる」つまり「下に降りる」です。
色々な例文を見ていきましょう。
①Get on the train./Get in the car. (電車に/車に乗って下さい。)
【※なぜか「車」だけは"on"でなく"in"を使う。「椅子にのる」も"on"。】
②Get up /Get away quickly!(急いで起きろ/逃げろ!)
③He got down from the ladder.(はしごから降りた。)
④I got over a slump.(スランプを乗り越えた。)
⑤Please get under my umbrella.(どうぞ私の傘(の下)にお入り下さい。)
⑥They got out of the shop.(店から外に出た。)
【「~から外に出る」時には"from"でなく"of"を使う。】
⑦We will get together at a bar.(バーに集まる予定です。)
⑧She got into the idol-singer.(アイドル歌手に入れ込んだ→ハマった。)
いかがでしょうか?この他にも"get back"(戻る・帰る)、"get off"(降りる・離れる)"、"get through"(通り抜ける)など、"get"が次に来る語をサポートして動詞に変えてしまう例は沢山あります。"get"は次に来る語を引き立てる魔法の力を持った、「名脇役」だと言ってもいいと思います。
A: How can I get to your office?
(あなたのオフィスへはどのように行けばいいですか?)
B: Get off the train at Kichijoji Station, and get out of the north-exit.
And then, walk right and get across the street.
(吉祥寺駅で降りて下さい。そして北口を出て下さい。それから右方向に歩いて通りを渡って下さい。)

A: OK.
(オーケー。)
B: After that, turn left and go straight until you see Yodobashi Camera on tour right.
After you pass it, you can see a building named "City-Plaza".
(その後左に曲がって右手にヨドバシカメラが見えるまで直進して下さい。
それを通り過ぎたら、「シティプラザ」というビルが見えます。)

A: City-Plaza? I see.
(シティプラザですね。わかりました。)
B: My office is room 906 in it.
(私のオフィスはその中の901号室です。)
"get to"は「行き着く・到達する」の意味です。また"get across"は「渡る」で、"go across"や単に"cross"(動詞)でも言えます。
次回も「魔法の"get"」の話を続けてみたいと思います。