残暑お見舞い申し上げます。

 今回は私ども「吉祥寺MCS英会話スクール」のシニアの生徒様の頻出単語である"care"のお話をさせて頂きます。

 「ケアする」は完全に日本語になってしまっていますが、それゆえに悩ましいことになっています。まずはカタい話から入ることをお許し下さい。

"care"という動詞は、〔自動詞〕といって〔直接"my  mother"等の語を目的語として次に続けることができない動詞〕です。ですから、例えば「母親のケアをする・世話をする」と言いたい時に、"I  care  my  mother."のようには言えないのです。

 以下に動詞の"care"の意味と使い方の実例を紹介します。

(1)「気にかける」「かまう」《"about"を使えば「誰のこと/何のことを」かが言える》

 ①I  don't  care.  (私は構いません。)【"I  don't  care  it." も誤りです。】

 ②I  care  about  my  mother.  (私は母のことが気がかりだ/気にしている。)

(2)"for"と一緒に使って「(病人・子供などの)世話をする」

 ③I  care  for  my  mother.  (私は母の世話をする。)

  ※つまり、これが「母親のケア(世話)をする」の言い方の正解なのです。

(3)"for"と一緒に使って、しかも下のような限られた文でのみ「好む・欲する」

 ④Would  you  care  for  some  coffee?  (コーヒーはいかがですか?)

 はっきり言って①と③だけ知っておけばよいと私は思います。

 「そうか、"for"を入れればよかったのか!」というのが結論だったわけですが、実はもうひとつ知っておいて頂きたいことがあります。上の③の言い方はこのようにも言えるということです。

 ⑤I  take  care  of  my  mother. (私は母の世話をする。)

 実はこの言い方の方が普通で、しかも病人や子供に限らず「植木」や「ペット」にまで幅広く使えるのです。シニアの方に使って頂きたいこんな美しい言い方もできます。

 ⑥Please  take  care  of  yourself. (どうぞご自愛下さい。)

◎ちなみに、ここで使われる"care"は名詞でなのですが、別に「注意」と言う意味も持っています。(この時は"of"は使いません。)

 ⑦Please  take  care. (どうぞご注意下さい/お気をつけて。)

 ⑧Take  care  not  to  slip  on  the  stairs. (階段で滑らないように気をつけて。)

なお余談になりますが、①の"I  don't  care."とよく似た意味の文で"I  don't  mind."という表現をご存じの方もいらっしゃるでしょう。どちらも「私は構いません」という訳し方ができるのですが、"don't  care"の文の方は「(その事を)別に頓着しない・関心がない」という意味なのに対して、"don't  mind"の方は「(その事を)嫌だと思わない・いとわない」となります。

 ですから"I  don't  care."は、場合によっては「どうでもいい」という少し冷たいニュアンスを相手に伝えてしまうかもしれません。



A: I  have  to  visit  my  mother  to  take  care  of  her.

     (私、母のお世話をしに母の所に行かなくちゃいけないの。)

B: Where  does  she  live?

     (お母様どこにお住まいなの?)

A: She  lives  alone  in  Osaka.

 I  don't  want  to  go  under  the  state of emergency.

     (大阪で一人暮らしよ。緊急事態の中行きたくないんだけど。)

B: I  see.  Please  take  care  on  the  way. 

     (わかるわ。どうか道中気をつけてね。) 


 緊急事態宣言の中、特にシニアの方々は"stay home"生活をキッチリ実践していらっしゃいますが、ご両親やお孫さんのケアだけはやはり外せないようで、「吉祥寺MCS英会話スクール」の生徒様達からもよくこの会話のような話をお聞きします。

 もうしばらくの辛抱と祈りつつ、どうか皆さま"Please  take  care!"