先日(3月27日付)の読売新聞の朝刊に掲載されていた記事からのお話です。この記事を読んだとき、まさに「我が意を得たり」の思いでした。
日本人は、もともと外来語・ヨコ文字言葉をとても柔軟に取り込み、いつの間にか母国語のように使い慣れてしまうという特性がありますね。それは日本語が極めて情緒的で、論理よりも感覚的なものを重んじる言語であること、それと日本人が「新しもの好き」であることなどによるのだと思いますが、この傾向は近年異常なスピードで進んでいます。若い人ならともかく、シニアの方にはとてもついて行けないのが現状だと思います。今回のコロナウイルス騒ぎでも、この傾向には目に余る物を感じていましたが、河野防衛大臣のこの記事で少し溜飲が下がった気がしました。
そうは言っても、ここは《シニアの方のための英会話教養講座》ですから、最近よく耳にするいくつかのヨコ文字言葉について、その本来の意味や使い方を説明してみたいと思います。
①ロックダウン(lockdown)
「封鎖」という意味で、必ずしも「都市の封鎖」を意味するものではなく、建物や施設などによく使われます。「中にいる人の安全を確保するために、建物や地域を封鎖して、外部からの侵入を止める」こと。【比較的新しい単語で、辞書などには載っていない可能性もあります。】
◆The area was in lockdown. (その地域は封鎖されていた。)
◆Tokyo could(might) go into lockdown. (東京はもしかすると封鎖される可能性がある。)
②クラスター(cluster)
「同種類の物や人の群れ・集団」という意味です。必ずしも「感染者集団」を意味するものではありません。「(花や果物の)房」という意味でも使われます。
※あの「クラスター爆弾(cluster-bomb)」(大きな爆弾容器の中に小さな爆弾を詰め込んで空中爆発させる大量破壊兵器)もこの言葉です。
◆I saw many clusters of tourists in Kyoto. (京都では旅行者の集団をいくつも見かけた。)
◆A cluster(=bunch) of grapes is 250 yen. (一房のブドウは250円です。)
③オーバーシュート(overshoot)
「通り越す・行き過ぎる」と言う意味の動詞で、過去形は"overshot"です。疫学的に「予想のラインを超える感染拡大や患者の急増」の意味に使われます。
◆We overshot the turn-off(=exit) for Numazu. (僕たちは〈高速道路の〉沼津の出口を通り過ぎてしまった。)
④テレワーク(telework)
"tele"という言葉は、もともと「遠い」という意味を持った接頭語で、"television"や"telephone"にも使われていますね。「在宅勤務」は「職場から遠く離れた場所で仕事をすること」ですので、"tele"に"work"を合体させて作られた新しい言葉が"telework"です。【やはり、辞書などには載っていない可能性もあります。】もともとは"telecommuting"と言われることが多かったようです。
A: My son is teleworking now.
(ウチの息子は在宅勤務中なのよ。)
B: Oh, he is lucky.
(あら、彼はラッキーだわね。)
A: No! He occupies the living-room alone.
So I can't even watch TV. He says, "Don't make a noise!"
(そうじゃないわよ!彼はリビングルームを一人で占領しているのよ。
だから私はテレビさえも観れないわ。「音を立てるな!」ですって。)
B: Why doesn't he use his own room?
(どうして彼は自分の部屋を使わないの?)
A:Because it's too messy and dirty.
(あまりに散らかっていて汚いからよ。)
これは私ども「吉祥寺MCS英会話スクール」のとあるシニアの生徒様が嘆いていた実話です。一日も早く安らかな日々が戻ってきますように。