今回は、私ども「吉祥寺MCS英会話スクール」のシニアの生徒様たちに限らず、日本人の多くが誤解している、というか使いこなせていない"miss""mistake"のお話しをさせて頂きます。

 まず始めに、私たちがよく使う「ミスをする」(間違い・失敗をする)という言葉ですが、これは全くの和製英語で、本来「ミステイク」で言うべき所を勝手に縮めてしまったものだという事を知っておいて下さい。

"mistake"という語は、名詞として使えば「間違い・誤り」という意味で、動詞として使えば「(目的のものを)取り間違える」という意味です。この「取り」の部分はさまざまな動詞に変えて使う事ができます。例えば「見間違える」「思い間違える(誤解する)」「(スイッチなどを)押し間違える」「(電車などを)乗り間違える」「勘違いする」などは、すべて"mistake"で行けるのです。

◇それに対して、"miss"は名詞はなくて、動詞として「(目的のものを)取りそこなう」という意味です。この「取り」の部分も"mistake"の時と同じように、さまざまな動詞に変えて使う事ができます。例えば「見そこなう(見逃す)」「聞きそこなう」「食べそこなう」「乗りそこなう」といった具合です。

 つまり"mistake"した場合は「目的のものとは違ったものが手元にある」状態で、"miss"した場合は「目的のものが手元にない」状態と考えてもいいでしょう。

 なお、"miss"にはもうひとつ凝った意味があります。それは「目的の物・人が手元にない・いないので困る/寂しい」という一歩深い意味です。これがラブソングでよく出てくる"I miss you."つまり「君がいなくて寂しい/君が恋しい」なのです。もしこれを"I mistake you."と言うと、「あなたを見間違える・人違いをする・誤解する」という意味になってしまってマズイ事になってしまいます。

①I mistook the train./I missed the train. (電車を乗り間違えた/電車に乗り損なった。)

②I mistook the way./I missed the way. (道を〔方法を〕間違えた/道を〔方法を〕見失った。)

③I mistook the umbrella./I missed my umbrella. (傘を間違えた/傘を置いてきてしまった〔ので困った〕。)

 なお、上で述べた和製英語の「ミスをする」の英語ですが、何らかの間違いや過ちをした時には"I made a mistake."と言って下さい。また「間違って・誤って」という意味の"by mistake"もぜひ覚えておきたい言い方です。

④I bought a large-size by mistake. (間違ってLサイズを買ってしまった。)



A: I'm sorry I'm late.

     (遅れてごめん。)

B: That's OK. Did you nap in the train and miss Kichijoji-station?

     (いいよ。電車の中でうたた寝して吉祥寺駅を寝過ごしたのかい?)

A: No. I mistook the train. I got on a Special-Fast train by mistake.

     (違うよ。電車に乗り間違えたんだ。間違って「特快」に乗っちゃったんだ。)

B: Ah. I sometimes do that, too.

     (ああ、僕もたまにそれをやるんだ。)


"nap"というのは「昼寝する・うたた寝する」という意味の動詞です。「吉祥寺MCS英会話スクール」のシニアの生徒様たちも、これと同じ失敗をする方がいらっしゃいます。

 JR中央線の事情をよくご存知ない方のために説明させて頂きます。中央線には「快速(Fast-train)」と「特別快速(Special-Fast-train)」(通称・特快)が運行されていて、新宿方面から乗った場合、「特別快速」は吉祥寺を通過して一駅先の三鷹駅まで行ってしまいます。ですから、吉祥寺で降りるためには「快速」に乗るか、「特別快速」に乗って三鷹から一駅戻ることになるのですが、三鷹駅から戻る方法は意外に時間がかかります。その上、三鷹駅で階段の上り下りもありますし、特にシニアの方にはおすすめしません。小金井や八王子方面からであれば、三鷹駅で「特別快速」から「快速」に乗り換えれば時間が節約できます。